JCSI 2026年度第2回調査の概要:対象7業種と特徴
日本生産性本部 サービス産業生産性協議会(SPRING)は、2026年7月28日に「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の2026年度第2回調査結果を発表した。今回は百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、宅配便、そしてQRコード決済(特別調査)、ショッピングセンター(特別調査)の合計7業種を対象に実施され、調査が行われた。本稿では、今回の調査結果のなかでも特徴的な動向が見られた3業種を取り上げ、そこから見えてくる消費者心理を考察する。
コンビニエンスストア業界:セイコーマート(セコマ)が全指標1位で首位
まず注目したいのがコンビニエンスストア業種だ。顧客満足スコア1位はセイコーマート(77.2)で、全国チェーンのローソン(68.9)、ミニストップ(68.7)に約8~9ポイントもの差をつけている。これは、今回発表された7業種の中でも大きな差となった。
| 顧客満足スコア上位 | 調査企業・ブランド | ||
|---|---|---|---|
| 1位 | セイコーマート | 77.2 | ランキング対象: セイコーマート、セブン‐イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ミニストップ、ローソン (6企業・ブランド) |
| 2位 | ローソン | 68.9 | |
| 3位 | ミニストップ | 68.7 | |
さらに興味深いのは、セイコーマートが、顧客満足だけでなく、顧客期待・知覚品質・知覚価値・推奨意向・ロイヤルティという6指標すべてで首位を獲得している点だ。感動指標においても1位(50.9)を獲得しており、単なる「不満の少なさ」だけでなく、積極的に「良い経験」を提供できているブランドであることがデータから読み取れる。
北海道を地盤とするセイコーマートは、地域密着を体現した商品展開や、ホットシェフに代表される独自の惣菜・弁当戦略、プライベートブランド商品で知られており(参考:株式会社セコマウェブサイト https://secoma.co.jp/aboutus/index.html)、全国チェーンとは異なる「地域に根差した価値提供」が高い満足度につながっている可能性が推察される。全国展開のスケールメリットだけが顧客満足を決めるわけではない、という示唆に富む結果といえるかもしれない。
JCSI6指標(コンビニエンスストア業種)スコア2026 上位企業のみ

JCSI6指標(コンビニエンスストア業種)順位表2026 上位企業のみ

スーパーマーケット業界:オーケーが1位、価格戦略の正体とは
スーパーマーケット業種では、ディスカウントストアのオーケー(75.2)が顧客満足スコア1位となり、コストコ(73.5)、トライアル(71.3)、業務スーパー(70.8)が続いた。一方、総合スーパー等のカテゴリーではイオン(69.6)、ライフ(67.1)が上位であり、ディスカウントストアとの間に明確なスコア差が生じている。
| 顧客満足スコア上位 | 調査企業・ブランド | ||
|---|---|---|---|
| 1位 | オーケー | 75.2 | ランキング対象: <ディスカウントストア> オーケー、業務スーパー、コストコ、トライアル、ドン・キホーテ(5企業・ブランド) <総合スーパー等> イオン、イトーヨーカドー、西友、マックスバリュ、ライフ(5企業・ブランド) |
| 2位 | コストコ | 73.5 | |
| 3位 | トライアル | 71.3 | |
| 4位 | 業務スーパー | 70.8 | |
| 5位 | ドン・キホーテ | 70.4 | |
特にオーケーは、各指標で高水準を維持するなかでも、知覚価値(73.1)において他社との差が特に大きいことがうかがえる。近年、値上げラッシュが続くなかで「本当にお得な店」を消費者がシビアに選別する傾向が強まっているとも考えられ、価格訴求型の業態が相対的に支持を集めやすい環境になっているのかもしれない。
JCSI6指標(スーパーマーケット業種)スコア2026 上位企業のみ

JCSI6指標(スーパーマーケット業種)順位表2026 上位企業のみ

JCSI6指標(スーパーマーケット業種 総合スーパー等)順位表2026 上位企業のみ

宅配便業界:ヤマト運輸が6指標すべてで1位、その評判とCSR経営
宅配便業種では、ヤマト運輸(75.9)が1位となり、6指標すべてで首位を獲得した。
| 顧客満足スコア上位 | 調査企業・ブランド | ||
|---|---|---|---|
| 1位 | ヤマト運輸 | 75.9 | ランキング対象:佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸(3企業・ブランド) |
特筆すべきは失望指標(スコアが低いほど上位)、およびCSR指標でも1位を獲得している点だ。エコロジーへの取り組みや情報公開、消費者保護といった項目に対する評価は、単なる配送品質だけでなく、企業姿勢そのものへの信頼感の表れであると推察される。 物流業界は再配達問題や「2024年問題」など、社会的課題への注目度が高い業種でもあり、そうした社会的責任への取り組み姿勢が顧客満足やブランドロイヤルティに結びついている可能性がデータから示唆される。
JCSI6指標(宅配便業種)スコア2026 上位企業のみ

JCSI6指標(宅配便業種)順位表2026 上位企業のみ

感動指標/失望指標/CSR指標(宅配便業種)順位表2026 上位企業のみ

まとめ
今回のJCSI第2回調査結果からは、必ずしも「規模の大きさ」や「知名度」が顧客満足度に直結するわけではなく、地域特性を活かした戦略、価格訴求の明確さ、そして社会的責任への取り組みといった多様な要素が満足度を左右していることが読み取れる。JCSIは業種・業態を超えた比較が可能な点が大きな特長であり、今後も各業種のスコア推移を追うことで、日本のサービス産業全体の変化を捉える手がかりになるのではないだろうか。 次回の第3回調査(2026年9月発表予定)では、通信販売・旅行・銀行・クレジットカードなど、生活に密着した業種が対象となる。引き続き、業種を横断した顧客満足の動向を注目していきたい。
よくある質問
Q:JCSIの6指標とは何ですか?
A:「顧客期待・知覚品質・知覚価値・顧客満足・推奨意向・ロイヤルティ」の6つです。
詳しくは下記をご覧ください。

顧客満足度を正しく測定するために、JCSIでは購買行動の因果モデルとその6指標を調査・分析のフレームワークとして設定しています。
Q:JCSI調査の過去の結果を知りたい。
A:下記をご覧ください。過去の調査結果一覧が掲載されています。

毎年、約400の企業・ブランドを調査し、顧客満足度ランキングで上位となった企業を中心に結果を公表しています。
執筆者:日本生産性本部 顧客価値創造センター 浅野 太郎