2026年10月義務化のカスハラ対策、現場に落とし込むには~「実践セミナーレポート」

カスハラ対策義務化とは?2026年10月施行の改正法のポイント

サービス産業生産性協議会(SPRING)は、2026年10月1日に施行される改正労働施策総合推進法により、事業主にカスタマーハラスメント対策が義務付けられることを踏まえ、対応実務を学ぶセミナーを2026年3月24日に開催しました。講師には、日本カスタマーハラスメント対応協会副代表の酒井由香氏が登壇しました。行政、航空、通信、小売など幅広い業種の担当者が参加し、現場で迷わず対応するための判断基準や支援体制の整え方について、実務的な視点で解説が行われました。

講師を務めた酒井 由香氏(一般社団法人ココロバランス研究所・日本カスタマーハラスメント対応協会副代表)

規程を作るだけで終わらせない~現場に落とし込むカスハラ対策

酒井氏は、大手住宅設備メーカーでのお客さま対応部門や相談室長としての経験、さらに顧客接点業務の支援に携わってきた実績を踏まえ、カスハラ対策は「規程を作って終わりではなく、現場が迷わず動ける形に落とし込むことが重要だ」と強調しました。制度やルールを整備するだけでなく、実際の現場で機能する運用設計まで含めて対応する必要性が示されました。

カスハラ対策の「整備状況」と「現場への定着度」が分かる実践セミナーを9月9日(水)に開催!(講師:酒井由香氏)↓

カスハラの判断基準を明確に~対応範囲の線引きと現場運用

講義では、カスタマーハラスメントの判断について、要求内容の妥当性だけでなく、手段や態様が社会通念上相当かどうかを含めて捉える必要があると整理されました。その線引きは白黒ではなく段階的に考えるべきであり、現場の状況や従業員への影響を踏まえた判断が求められると説明しました。また、対応範囲の基準を明確にすることで、担当者個人の経験や忍耐に依存しない運用が可能になる点も示されました。

「カスハラ対策で企業側が行うべき3つのアプローチ」を解説!酒井由香氏の執筆コラムを見る ↓

従業員保護とサービス品質を両立させる視点

さらに、暴言や長時間拘束、過度な要求といった行為は、従業員の心理的負担を高めるだけでなく、離職率の上昇やサービス品質の低下、ほかの顧客への影響にもつながると指摘しました。カスハラ対策は従業員保護にとどまらず、顧客との信頼関係を維持するための基盤であると述べました。

当日のセミナーの様子

段階的対応とPDCAで進めるカスハラ対策の運用改善

実務面では、対応を段階的に整理するモデルが紹介され、現場で対応する範囲と組織的に判断・引き継ぐ範囲をあらかじめ定めることで、「一人で抱え込まない」体制づくりの重要性が示されました。加えて、フローチャートの整備にとどまらず、行動・判断・記録・エスカレーションなどのプロセス全体を見直し、実態調査から研修、定期レビューまでを連動させてPDCAを回すことの必要性が共有されました。

本セミナーには多くの方にご参加いただき、カスタマーハラスメントへの関心の高さがうかがえる機会となりました。
サービス産業生産性協議会(SPRING)は、今後もカスタマーハラスメント対策を重要なテーマの一つとして位置づけ、企業が安心して働ける職場環境づくりと持続可能なサービス提供の実現に向けた支援を継続してまいります。

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