「教育の変化が企業に与える影響~日本の初等・中等教育が直面する課題」

「教育の変化と企業」社会起業家の白井氏が講演

日本生産性本部は8月21日、第76期「経済情勢懇話会」の8月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は、「教育の変化が企業に与える影響~日本の初等・中等教育が直面する課題」をテーマに、社会起業家の白井智子氏(こども政策シンクタンク代表)が講演した。

こども政策シンクタンクを設立

白井氏は2003年に、大阪府池田市と連携して、不登校の子どもたちのための全国初の公設民営フリースクール「スマイルファクトリー」を設立した。2024年には、こども政策シンクタンクを設立し、社会的格差の固定化を解消するためのプロジェクトを推進しながら政策提言活動を行っている。「どんな子どもも落ちこぼれさせない個に寄り添う教育・子育て環境の実現」をミッションとしている。
白井氏は、「小中学校における不登校の児童生徒数は34万6482人(2024年)で発達障害を持つ子どもの割合は8.8%といわれている。多くの子どもに日本の公教育が合っていない現状が続いている」と指摘したうえで、未来の教育への提案として、「学びの個別最適化(先生の役割は学びのコーディネーター、ナビゲーターに。基礎学力の習得にはAIも活用。学びの評価の尺度を多様に)」「子どもだけでなく、大人も死ぬまで学び続ける。互いに学び合うコミュニティの中で子どもは育つ」「どんな子どもにも選択権を(フリースクール、学童保育、放課後の居場所、塾、子ども食堂、コミュニティ等)」の三つを挙げた。

『問いを立てる』力が企業にも必要

企業活動との関係での課題については、「採用や育成における評価基準の多様化」「インクルーシブな企業文化や職場環境の構築」「公教育をアップデートするための新しい資金の流れ(企業からの寄付等)」を挙げた。
白井氏は「今は『答え』はAIが導き、あふれる時代であり、『問いを立てる』力が企業にも必要だ。誰もがそれぞれの情熱と才能を解き放てる世の中にしていきたい」と述べた。

生産性新聞2025年7月15日号:「経済情勢懇話会 第3回」掲載分

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