コストから価値創造へ

アシックスのエグゼクティブアドバイザー、
吉川美奈子氏
日本生産性本部は、2026年8月20日に都内で第78期経済情勢懇話会8月例会を開催した。アシックスのエグゼクティブアドバイザー、吉川美奈子氏が講演し、サステナビリティを経営戦略に組み込み、価値創造につなげる同社の活動について紹介した。
吉川氏は、「欧州をはじめ各国・地域で環境や人権を巡る企業への要求が強まり、社会的責任から法令順守や市場参入の条件へと変化している」と説明した。企業のサステナビリティ情報の開示や製品設計、環境表示などを巡る規制も強まる。
同社はサステナビリティを中期経営計画や「VISION2030」の要テーマに位置付ける。10数年前には明確な戦略がなかった段階から、グローバルな団体と連携し、国際基準を取り込み、創業哲学や経営戦略への組み込みを進めた。

サプライチェーンでは、品質、納期、価格に加え、人権・労働条件や環境などの基準を工場選定に導入。新規の生産委託工場は取引開始前に基準を満たしているか確認し、取引開始後も定期的に監査する。
製品開発では、製品ライフサイクルでの温室効果ガス排出量を1足当たり世界最少(2023年9月時点)の1.95kgCO2eに抑えたスニーカー「GEL―LYTEⅢCM1.95」を2023年に発表した。パーツ数を50%減らしたほか、サトウキビ由来の原料を活用した素材の開発など、バリューチェーン全体で16の削減策を実施した。
「健やかな心身には健やかな地球環境が必要」
同社は「健やかな心身には健やかな地球環境が必要」との考えから、サステナビリティを創業哲学や経営戦略と結び付けてきた。社員教育なども進め、業務でサステナビリティ推進を意識する社員は2021年の44%から24年には約70%に上昇した。吉川氏は、「サステナビリティをコストから価値創造や競争力向上につなげる」と考えを示した。

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生産性新聞2026年10月25日号:「第78期 経済情勢懇話会 第5回」掲載分