未踏の市場と価値をつくる
日本生産性本部は2025年4月23日、第76期「経済情勢懇話会」の4月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は、「未踏の市場と価値をつくるエシカル経営のリアル」をテーマに、鮫島弘子・andu amet代表取締役が講演した。
「andu amet」社を設立:上質なメイドインエチオピアのバッグを

社名でありブランド名でもあるandu amet(アンドゥ アメット)は、絹のように滑らかで羽根のように軽い、最高級の羊皮であるエチオピアシープスキンを贅沢に使用したレザーブランド。鮫島氏は、2002年から2005年にかけて、エチオピアやガーナでボランティアに参加した際、エチオピアシープスキンや優秀な職人たちと出会う一方で、加工技術が未成熟であるために、高品質なレザーが安価な原皮のまま先進国に輸出され、グローバルブランドにより高級品として生まれ変わる社会構造を目の当たりにした。それならば、付加価値の高い最終製品として輸出しよう、エチオピアの職人たちに長期的に技術やノウハウを教えて習得してもらい、上質なメイドインエチオピアのバッグを生み出そう、と思いつき、2012年に同社を一人で設立した。
世界で通用するよう技術指導を実施
同社の製品は、環境に配慮された工場でなめされたレザーを使い、エチオピアの直営工房で、日本の技術を受け継いだ現地職人がすべてハンドメイドで製作している。直営工房では、現地の若者を直接雇用し(現在は15人雇用)、世界で通用するよう技術指導を実施している。職人には、高い技術力に見合った適切な報酬を支払い、徒弟制度によって職人を育成し、誇りと喜びを持って働くことができるよう環境を整備している。

次世代リーダーを育成するサステナビリティ研修を開始
今年からは、エチオピアでのオンラインフィールドワーク(現地の疑似体験)を取り入れた、次世代リーダーを育成するサステナビリティ研修を開始。グローバルな視点に触れつつ、日本の未来を切り拓くための新たな視点と力を養うという。
経済情勢懇話会は、わが国を取り巻く経済・社会の情勢を広い視点から研究し、経営の判断や指針構築に役立てることを目的に開催している。第76期は4月から9月まで。対象は、企業・団体のトップマネジメント・経営幹部。
生産性新聞2025年5月25日号:「経済情勢懇話会 第1回」掲載分

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