日米同盟の非対称性~トランプ政権を分析

「トランプでどうなる、日米同盟」

日本生産性本部は2026年3月12日、第77期「経済情勢懇話会」の3月例会を都内で開催(オンライン併用)した。
当日は、「トランプでどうなる、日米同盟」をテーマに山口航・帝京大学法学部准教授が講演した。

山口氏は日米同盟について、「一般的な同盟は『相互防衛』で、同盟国の戦争への集団的自衛権行使が通例だが、日米同盟は権利と義務が非対称になっている。日本に米軍基地があるのは日本を守るためだけではなく、極東の平和と安全を守るためであり、日本の外に出ていって任務を遂行できる。米国は日本を守るけれども日本は米国を守らない。その代わりに日本は基地を米国に提供していることでバーターとなっている。これが日米の同盟関係の根幹だ」と説明したうえで、認識としての「対等性」(主観的な納得感。一方的な不利益を感じないこと)と、役割としての「対称性」(相互防衛など、形式的に同一の役割)を分離することが重要だと説明した。

首脳間の信頼は『約束の履行』の積み重ね

トランプ大統領については、1980年代から日米安保は不公平だと述べており、「対称性」と「対等性」をオーバーラップさせていること、トランプ政権の特徴については、「アメリカ・ファースト」を徹底しており、世界の警察官としての負担を拒絶し、経済問題(関税)と安全保障のあからさまなリンクを図っていることや、最近はイランやベネズエラなど、より強硬な「タカ派」的側面も見られること、政権内部は、介入に抑制的な「抑制主義者」と対中政策を優先する「優先主義者」のグループの混合となっており、「抑制主義者」の力が強いことなどを指摘した。

山口氏は、「過去に日米関係が悪化したのは首脳同士の相性よりも『懸案のマネージ』の失敗による。相性は大事だが相性だけではすべては解決できない。1969年の佐藤・ニクソン会談時の繊維交渉の『Please trust me』、2009年の鳩山・オバマ会談時の普天間移転の『Trust me』は結果として履行されなかった。首脳間の信頼は『約束の履行』の積み重ねによって生まれる」と強調した。

生産性新聞2026年4月15日号:「第77期 経済情勢懇話会 第6回」掲載分

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