「その『大丈夫』、本当に大丈夫ですか?」 カスハラ対策、最初に確認したいのは
「これまで、特に大きな問題は起きていません。」
カスハラ研修で企業のみなさまとお話ししていると、時々この言葉を耳にします。もちろん、本当に大きなトラブルが起きていないのだと思います。しかし、その一方で、こんなことを感じる場面もあるのではないでしょうか?
・「多少困ったことはあるけれど、カスハラというほどでは…」
・「担当者がうまく対応してくれたので、大きな問題にはならなかった。」
・「現場からの相談は入っていないので、大丈夫だと思う。」
こうしたお話をもう少し深くお聞きすると、「問題がない」のではなく、「見えなくなっている」のかもしれないと感じることがあります。
カスハラが「起きていない」のではなく「気づけていない」企業の特徴
2026年10月から、事業主にはカスタマーハラスメント防止対策が義務付けられます。この法改正をきっかけに、多くの企業で方針やマニュアルの整備が進められています。
しかし、法令への対応を進める中で、ぜひ確認していただきたいことがあります。それは、「自社の現状を、本当に把握できているか」という点です。
例えば、
・現場が、「これくらいは仕方ない」と我慢している
・管理職に相談が上がってきていない
・特定の担当者だけが、対応の難しい顧客を抱え込んでいる
こうした状況は、日常業務の報告書などからは見えてきません。だからこそ、「何か(大変なことが)起きてから考える」のではなく、「今、どんな状態なのか」を知ることが、カスハラ対策の実質的な第一歩になります。
カスハラ対策で最初に確認すべき「早期発見の仕組み」とは
「カスハラ対策」というと、方針やマニュアルづくりを思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、それらは大切です。しかし、その前に確認すべきは、問題を早期に発見できる仕組みがあるかどうかです。
例えば、次のような点が挙げられます。
・現場が困ったときに声を上げやすい雰囲気があるか
・日頃から困りごとを共有する機会があるか
・小さな事例も組織として把握できる体制になっているか
こうした仕組みがあることで、トラブルの芽を早い段階で発見することができます。
カスハラ対策チェックリストで自社の現状を確認する方法
| 仕組みの整備 | 防止と対応の両立<ガイドライン:防止対策/相談体制の整備> |
| ・発生を未然に防ぐ仕組み | |
| ・発生後に迅速・的確に対応できる相談・通報体制の整備 | |
| ・采配防止策を講じ、PDCAで継続的に改善 |
カスハラ対策を進める企業向けに、「仕組みの整備」について対策状況を確認できるチェックリストを用意しました。「うちは大丈夫」と思っていても、実際にチェックしてみると意外な気づきがあるかもしれません。
法改正まで残された時間は限られています。だからこそ、制度づくりに入る前に、まず自社の現在地を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
次回は、多くの企業で対応が難しいとされる「相談・通報体制」を取り上げます。相談窓口は設置したものの、誰も相談に来ない――。そのような企業で、実際に何が起きているのかを一緒に考えていきます。
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【酒井氏が講師を務めるプログラム情報】
現場に定着するカスタマーハラスメント対策支援ページも公開!
カスタマーハラスメント対策を進めるうえで押さえておきたいポイントを、動画と資料でわかりやすく解説しています。法改正の背景や対策の考え方、実践のヒントまで、初めて取り組む方にも役立つ内容です。
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本セミナーでは、カスハラ対策チェックリストを活用し、自社の取り組み状況を確認します。法令への対応状況だけでなく、対策が現場で実際に機能しているか、従業員に浸透・定着しているかという視点から自社の現状を整理します。義務化までに優先して取り組むべきポイントを分かりやすく解説し、実効性のある対策につなげていただけます。
<筆者プロフィール>

日本カスタマーハラスメント対応協会 認定講師 酒井 由香 氏
大手住宅設備メーカーでの修理受付からお客さま対応部門に従事。BPOセンターの立ち上げを経て、お客さま相談室長として組織マネジメントを実施。その後、顧客接点業務向けシステム開発会社で、顧客対応窓口の応対実務に関する支援や、システム構築における運用面のサポートを担当。
2020年に『グレークレームを“ありがとう!”に変える応対術』(日本経済新聞出版)を共同執筆。2022年、日本カスタマーハラスメント対応協会に参画。
消費者を取り巻く、多くの業界団体から最新情報を得ながら 生活者の声を活かす仕組みづくりの支援を行っている。経営品質協議会認定セルフアセッサー取得。